vol. 1 ステンドグラスの基礎知識(1) 

 日本で「ステンドグラス」と呼ばれているものは欧米では以下の3種類に分類されます。

 1.レディドグラス(leaded glass)
 2.ステンドグラス(stained glass)
 3.ティファニーテクニーク/カッパーフォイリング(Tiffany technique/copper foiling)

1. レディドグラス(leaded glass)
 板ガラスを鉛の枠(鉛線)で組み立てて接続部分をはんだで接着し、隙間をパテやセメントで埋めたもの。leadは英語で「鉛」のことで動詞としては「鉛で組み立てる」というような意味になります。
 色ガラスを窓に嵌めこむことはすでにローマ時代から行われていますが、鉛線を使用した窓(レディドグラスleaded glass)は7−8世紀頃に、すでにあったモザイクや七宝の技術を参考にして開発されたといわれています。
 ちなみに英語のleadは「導く、リードする」などの一般によく使われる意味の場合は「リード」に近い発音ですが、「鉛」の意味の場合は発音が異なり「レッド」のようになります。鉛線を「ケイム」とも呼びますが、このケイムの綴りがcalmです。普通に「穏やかな」という意味のときのように「カーム」と読みたくなりますが「ケイム」となり、これはイギリス人でもステンドグラスになじみのない人だと読み間違えることもあります。アメリカではcameと書くこともあるようです。こちらなら素直に「ケイム」と読めますね。

2. ステンドグラス(stained glass)
 1の発展形で、板ガラスに線描や着色を施して釜に入れ、焼きつけたものを組んでいきます。stainは英語で「しみ」のことで、stained glassとは「絵をつけたガラス」という意味合いです。
 現存している最古のステンドグラスはフランスのストラスブールにある、イエス・キリストと思われる人物の顔の部分です。窓に嵌っている最古のものはドイツのアウグストス大聖堂にある預言者達の像のパネルです。
 ステンドグラスは中世ゴシック期(10-12世紀頃)に大きく発展した後一時衰退し、19世紀のゴシック回帰の機運に乗って再び制作されるようになり現代に至っています。
 しかし中世以来の絵付け技法を継承する職人の不足ははヨーロッパでも深刻で、古いパネルの修復作業を行う際の大問題になっています。

3. ティファニーテクニーク/カッパーフォイリング(Tiffany technique/copper foiling)
 19世紀末、アメリカで開発された技法。ガラスの周りにコパーテープ(英語ではcopper foil)を巻き、はんだで接着していきます。
 この技術を発明したのがルイス・コムフォート・ティファニー(宝石商初代ティファニーの長男)で、自身が開発した乳白色や半透明の表情豊かなガラスを用いて美しいランプやパネルなどを次々と発表しました。


 この3種類のガラス工芸を日本では総称として「ステンドグラス」と呼んでいます。「日本では」といいましたが、実際のところは海外でも専門家以外はこの三つをあまり厳密に言い分けたりはしないようです。
 日本では明治期から国産のステンドグラスの制作が始まり、国会議事堂の天井パネルや慶応大学図書館などが有名です。
 日本でステンドグラスに使われているガラスはほとんどがアメリカからの輸入で、一部ドイツやフランスから輸入されています。最近は人件費の安い国で作った安価なガラスも出回っていますが、微妙なニュアンスの美しさでは、老舗に軍配が上がるようです。

お読みくださいましてありがとうございました。次回もお楽しみに。

 
 ばらのパネルU
 
 ティファニーランプ チェスナット
 
 

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