vol. 4 イギリス ステンドグラス紀行(2) 

  イギリス国内のステンドグラスの見所を、独断も交えてご紹介します。後編の今回は、もっと詳しく知りたい方に。
※最新の情報は各機関サイトなどでご確認ください。

1. イーリィ大聖堂とステンドグラス博物館 Ely Cathedral and Stained Glass Museum
 最近のガイドブックにはイーリィも載るようになって、「あんな小さな町が…」とちょっとびっくりします。ケンブリッジ行きの列車で乗り換えなしで行ける便の良さも受けているのでしょうか。イギリスらしいかわいらしさのある町です。
 大聖堂のステンドグラスは19世紀製が主で、歴史的に重要という訳ではありませんが、ほとんどの窓にパネルがはめられているので大変見事です。また大聖堂の一部がステンドグラス博物館になっていて、さまざまな時代のステンドグラスが詳しい解説とともに見学できます。お土産売場も小さいながらステンドグラス関係のガイドブックが豊富に揃っています。私が修復した聖ミカエル教会のステンドグラスの作者、トーマス・ウィルムズハースト作の美しい絵付けパネルも展示されています。

アクセス:ロンドンのキングスクロス駅から、ケンブリッジ行きの列車に乗り、Ely駅下車。駅から大聖堂までは徒歩約10分位。小さい町の常で、日曜日はほとんどのお店が閉店しています。行くなら平日か土曜日に。
※これを書いた2000年代前半はそうでしたが、近年では地方でも随分日曜日にお店が開くようになりました。イーリィもひょっとしたら日曜日でも大丈夫かもしれません。ぜひお調べになってから行ってみてください。


2. グラスゴー大聖堂とバレル・コレクション Glasgow Cathedral and Burrell Collection
 グラスゴー大聖堂にはかつてはドイツ・ミュンヘンの工房で作られた窓があったのですが、戦後に外され、今は一部が見られるのみです。損傷が激しかったから、というのが理由ですが、敵国ドイツ製だから嫌われたのでは、という人もいます。真偽は定かではありませんが、もしそれが理由ならば窓や職人さんには罪はないのに…と残念です。私はその一部を、修復を行った修復士の工房で見せてもらいましたが、絵付けもガラスの発色も大変見事なものでした。
 バレル・コレクションは昔の地元の大富豪のコレクションが市に寄贈されて、それを一般公開したもの。ヨーロッパにはこういう美術館があちこちにあります。コレクションは古代エジプト・ギリシャの文物から印象派絵画まで幅広く、中でも中世ステンドグラスのコレクションは見事なものです。そのコレクションの質と量は、教会以外ではV&Aに次ぐ規模といわれています。グラスゴー市内からバスで20分くらいは行くでしょうか、アクセスが悪いのが難点です。

アクセス:グラスゴーにはロンドンからの直行便がありますが、エジンバラからも30分置きに列車が出ています。中央駅から大聖堂までは、市庁舎前を通って徒歩約10分。バレル・コレクションまでは市内からPollok Park方面行きのバスに乗り公園入り口で下車、公園内にあるコレクションの展示館まで徒歩約10分。公園内ではスコットランド地方特有のへんな顔をした牛、ハイランド・クーhighland cow(スコットランド人はカウではなくクーと発音します)の放し飼いも見られます。

3. オックスフォード大学クライストチャーチ校 Christ Church, University of Oxford
 ラファエル前派の画家バーン=ジョーンズがここの卒業生だったことから、チャペルはバーン=ジョーンズデザインのパネルで彩られていて、ラファエル前派好きには堪えられません。
 初めて行ったとき、案内役のボランティアのおばあさんに「これってバーン=ジョーンズですよねえ」と言ったら「よく知ってるわね!」と大変喜ばれて、ひとつひとつの窓の由来について教えてもらいました。現地在住の方が作成されたらしい日本語の案内もありました。
 食堂には「不思議の国のアリス」のパネルもあります。使用していないときは見学可能。作者のルイス・キャロルはクライストチャーチの数学の先生、アリスのモデルになった少女は当時の学長の娘でした。この食堂はハリー・ポッターの映画のロケ地としても有名です。
 オックスフォードの各カレッジはそれぞれチャペルがあるのですが、一般公開されているものが少ないのが残念です。公開されていたらぜひ内部に入ってみてください。どこのチャペルにも素晴らしいステンドグラスのパネルがあります。

アクセス:ロンドンのパディントン駅から約50分。駅から大学の密集している市内までは徒歩約10分。

4. ウィリアム・モリス美術館 William Morris Gallery
 ロンドン北部の町にある小さなギャラリーです。ステンドグラスだけではなく壁紙・家具・カーテン等などモリス及びその周辺の芸術家・工芸家の手による作品で彩られており、モリスやアーツ&クラフツ、ラファエル前派が好きな人ならとても楽しめます。大変質の良い絵付けの施されたステンドグラスやカートゥーンと呼ばれる下絵など、興味深い展示が見られます。入場無料というのも魅力。小さな公園の入り口にあり、公園は地元の人の憩いの場となっているようですので、時間があったら散策してみるのもいいかもしれません。
ギャラリーのHPからはモリスの壁紙を無料でダウンロードできます。

アクセス:地下鉄ヴィクトリア線終着駅のWalthamstow Central駅から徒歩15分ほどですが、途中は見るべきところのないあまり観光客向きではない雰囲気の通りなので、駅前のターミナルからバスに乗った方がいいでしょう。詳しい行き方はギャラリーのHPに乗っています。

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